結婚後、妻が専業主婦として生活していくためには、どれほどの年収が夫に求められるのでしょうか。
少し前になりますが、ドラマ「逃げるが恥だが役に立つ」では専業主婦に支払われるべき労働の対価について議論が巻き起こりました。
また、幸福度調査では意外にも妻が専業主婦という家庭が最も幸せを感じていることが明らかになっています。
また悲しい結果が1つ。 pic.twitter.com/VB8uMPjy5B
— すもも (@sumomodane) September 7, 2019
こうした「専業主婦」という肩書に注目が集まり、議論が巻き起こることは、夫婦共働きという働き方が急増していることが背景にあると考えられます。
こで本記事では、女性であれば一度は憧れる「専業主婦」という肩書に焦点をあて、妻が専業主婦として生活していくために必要な夫の年収を導き出していきたいと思います。
専業主婦になるには夫の年収はいくら必要なのか
ここでは専業主婦を妻に持つ夫が、今の日本におけるごく普通の暮らしを送るうえで、赤字家計に転落することなく老後を迎えるために必要な収入や貯蓄条件をシミュレーションしていくことにします。
子ども1人の家族を想定
まず、専業主婦になるために必要な夫の年収を導き出すにあたり、次のような家族形態を仮定してみることにします。
専業主婦を目指す家族設定
✔ 夫婦の年齢は、ともに30歳
✔ 子供1人の3人家族
専業主婦家庭の生活費
さて、専業主婦暮らしとはどういったものなのでしょうか。
専業主婦にしろ、共働きにしろ、家族3人が暮らしていくためには最低限必要な生活費はそれほど多く変わりません。生活費に住居費、子供の教育費は当然掛かってきます。
ここでは、厚生労働省が毎年実施している国民生活基礎調査をもとに3人家族としての平均的な水準を参考にした生活費を次のように設定します。
✔ 生活費:月22万円
✔ 住宅費:3000万円
✔ 教育費:奨学金に頼らず準備
✔ 子供の進路:幼・高・大が私立
✔ 自動車:なし
ちなみに、住宅ローンはフラット35の金利1.4%(団体信用保険は金利上乗せ0.2%)を想定し、繰り上げ返済は行わないこととします。
専業主婦の老後資金
さらに、老後の夫婦生活費を蓄える必要性がありますので、住宅ローンを払い終える65歳時点での貯蓄3000万円が達成できる年収を算出していきます。
専業主婦の夫に求められる年収はコレだ!
以上の条件を満たし、専業主婦になるために必要な夫の年収を探ってみました。
生活費・住居費・教育費を支払いながらも家計破たんすることなく、65歳時点で目標の老後資金確保を達成する専業主婦の夫に求められる年収条件は、次のようになりました。
✔ 30歳時点で年収700万円
✔ 退職金:2000万円
✔ 30歳時の貯蓄額:300万円
✔ 年収上昇率:1%
いかがでしょうか。
妻に専業主婦として家事業・育児に専念してもらい、夫のシングルインカム状態のまま、住宅ローンを払い終え、子供の教育費を奨学金に頼らず、老後資金を確保するという生涯目標を達成するために必要な夫の年収は、なんと30歳時点で年収700万円も必要なのです。
ちなみに、30歳男性の平均年収は427万円と言われていますから、そうとう稼いでいなければいけないことがよく分かります。
4人家族で専業主婦を目指したい方は…
子ども2人の4人家族の方は、この記事とは違った視点で必要年収をシミュレーションしている記事を書いています。ぜひ参考にしてみてください。
日本という国で、子供2人を育てる適正年収をレポート
専業主婦になれる割合はコレだ!
上のシミュレーションを通じて、専業主婦になるための夫の収入条件は判明しました。
では、実際に現代の日本において専業主婦になりたいと考えた方で、専業主婦になることができる方はどの程度いるのでしょうか。ここでのポイントは、専業主婦になりたくてなれる方がどれほどいるのかということです。
30歳で年収700万円を稼げる割合
まず、30歳の平均年収データを知るならDODA |転職ならDODA(デューダ)によると、男性が30歳時点で年収700万円を達成している人の割合は、次の通りです。
この調査結果によると、男性が30歳時点で年収700万円を達成している割合は、たった4%しかいません。
専業主婦になりたい女性の割合
次に、世の女性方はどれほどの方々が「専業主婦になりたい」と考えているのでしょうか。
株式会社三菱総合研究所が平成25年に行った少子高齢社会等調査検討事業報告書(若者の意識調査編)を見ると、専業主婦になりたいと考える女性の割合が分かります。
このアンケート結果を見ると、年収区分600万円~800万円未満の世帯では、専業主婦に
- なりたい…3.6%
- できればなりたい…33.9%
と考えていることが分かります。
ただ、この年収区分には年収700万円未満の情報が多く反映されています。(年収700万円以上より年収700万円未満の方が圧倒的に多いため)
そこで、年収区間800万円~1000万円の
- なりたい…18.5%
- できればなりたい…29.6%
という情報も確認しておきます。
ちなみに、年収に関係なく専業主婦になりたいと考えている女性の割合は、約34%であり、3人に1人は専業主婦を夢見ていることも分かります。
専業主婦になれる割合は2%
ここまで確認してきた情報を確認します。
✔ 年収700万円を稼いでいる割合…4%
✔ 専業主婦を夢見る女性の割合…48.1%
以上の2つの情報をもとに、専業主婦を夢見る妻が専業主婦になれる割合を確認していきましょう。
ここでは、より分かりやすく考えるために、母数の女性数を100として専業主婦を取り巻く状況を表にしてみました。それがこちらになります。
この表でも分かるように、専業主婦を夢見る女性が専業主婦になることができる割合が見て取れます。
✔ 専業主婦になりたくてなれるのは2%
現状、ここで紹介した条件をクリアした上で、専業主婦になりたいと考えているが、専業主婦になれる割合は100人中たったの2人しかいないことになるのです。
専業主婦に迫る貧困の実態
ここで導き出した年収700万円を夫が稼いでくれる家庭はごくわずかしかいないことが分かっていただけたかと思います。
では、実際こうした年収に届かない専業主婦の家庭はどうしているのでしょうか。
子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査によると、専業主婦家庭の12%以上が貧困層と呼ばれるほど生活に苦しんでいる実態があるようです。
貧困とまではいかないにしても、高校や大学では奨学金を借りたり、生活費を切り詰めたりしなければ、多くの専業主婦家庭は破産してしまう現実が浮き彫りになりました。
完全な専業主婦として生活していくことが難しい場合は、少しでも家計の足しになるように在宅ワークを始める主婦も急増しています。
専業主婦は勝ち組なのか
ネット上では「専業主婦になれるのは人生の勝ち組だ!」などという意見を目にしますが、この結果を見る限り、この意見はあながち間違った表現ではないことが分かりました。
ここでのシミュレーションでは、子どもは1人・車なしという設定で行いましたが、現実に目を向けると子どもが2人以上いたり、車を所有していたりする家庭も多いはずです。
さらには、親の介護、夫婦の病気、ケガ、会社リストラ、収入減少といったりするように支出の増大や収入の減少もあるわけですでしから、そうした現実を考えていくと、専業主婦を夢見る妻を専業主婦にさせてあげられる家庭は、限りなく0に近くはずです。
あなたは専業主婦を目指しますか?あきらめますか?
何をあきらめるか迷った方は、ぜひ次の記事を読んでみてください。
人生で何をあきらめるか迷ったら…
普通の人は何をあきらめるべきなのか?最後まで読んでいただき、ありがとうございました。