男女間の年収にはどれほどの格差があるのでしょうか。
本日はこの問いに対する答えを「偏差値」という指標を使って読み解いていきます。
というのも、別記事で年収を偏差値化したところ多くの反響をいただきました。
反響があった記事
年収を偏差値化した世界この年収を偏差値化する方法を使えば、男女間の年収格差を新しい視点から比較・分析できると考えました。
ここでは上述の記事内で用いた手法を使って、男女の年収をそれぞれ偏差値化し、男女間で同価値の年収を比較していきます。
男女別の年収情報を比較する
男女間の年収の価値を比較するべく、まずは男女それぞれの年収を偏差値化していきます。
男女それぞれの年収分布状況は、国税庁統計データで毎年発表されている民間給与実態統計調査を用いて把握することができます。
男性の年収分布
まず、直近の男性の年収分布が以下になります。
男性の年収平均値は424万6千円です。
ここでは、この分布図と平均年収を使って男性の年収を偏差値化していきます。
女性の年収分布
続いて、女性の年収分布状況です。
女性の年収平均値は210万1千円です。
男性の平均年収424万円と比較しても女性の平均年収は半分以下となっており、平均値だけ見ても大きな格差があることが分かります。
また、男女別の年収分布グラフを左右に並べてみると、その違いが視覚的にも大きく異なることが確認できます。
ここではここからもう一歩踏み込み、男女別の年収を偏差値化し、比較していくことにします。
男女別の年収を偏差値化
ここまでの男女別の年収情報を使って、代表的な年収を偏差値化したのが下の表になります。
100万円 | 28.4 | 40.6 |
200万円 | 38.8 | 49.4 |
300万円 | 44.8 | 54.5 |
400万円 | 49.1 | 58.1 |
500万円 | 52.4 | 60.9 |
600万円 | 55.2 | 63.2 |
700万円 | 57.4 | 65.2 |
800万円 | 59.4 | 66.8 |
900万円 | 61.2 | 68.3 |
1000万円 | 62.8 | 69.6 |
1100万円 | 64.2 | 70.8 |
1200万円 | 65.5 | 71.9 |
1300万円 | 66.7 | 73.0 |
1400万円 | 67.8 | 73.9 |
1500万円 | 68.8 | 74.8 |
1600万円 | 69.8 | 75.6 |
1700万円 | 70.7 | 76.3 |
1800万円 | 71.5 | 77.1 |
1900万円 | 72.3 | 77.7 |
2000万円 | 73.1 | 78.4 |
1億円 | 97.1 | 98.7 |
ポイントとなる偏差値として「50」・「60」・「70」付近の年収階級値には色を付けました。
こうして偏差値を比較すると平均年収や年収分布だけでは見えなかった男女間の年収格差が見えてきました。
男女間における稼ぎの価値
男女別の偏差値を比較するために色を付けたポイントの偏差値を改めて比較すると、次のようになります。
✔ 年収400万円(男)=年収200万円(女)
✔ 年収800万円(男)=年収500万円(女)
✔ 年収1600万円(男)=年収1000万円(女)
偏差値という指標で見れば、男性の年収800万円と女性の年収500万円は同価値になるという事実はちょっとビックリしませんか。
以前、Twitterでこのようなツイートをしました。
「女子の職業図鑑」を見ると小学校の先生はかなり高年収。それ以上の年収は特異能力を身に付けた仕事を目指すしかない。そう考えると転職するなら教員やりながら資格取得するのがベスト。Twitterで同志を募れば努力継続できるし、情報交換もできるからおすすめ!転職後に年収上げるのは至難の業ですよ pic.twitter.com/7vuoE1Eje2
— うさぎ🐰私立高校🐾 (@usagi_teacher) September 26, 2021
今やブラックな働き方で低倍率になっている教師ですが、特に女性の年収という点では私の想像以上に高年収な仕事なのかもしれません。
年収の偏差値化で見えたこと
男女別の年収を偏差値化し比較してきましたが、最後に偏差値を扱う上での注意点について触れることにします。
偏差値という指標は、平均値が大きく影響しており、この平均値は母集団によって大きく変動するという性質を持っています。
そのため、偏差値を比べるときには本来母集団が一緒である必要があります。
ここで比較した男女の年収は男性と女性というように母集団が異なるため、先ほど表現で使った「同じ偏差値=同じ価値」という言い方は必ずしも正しくありません。
ただ、男女間の年収偏差値を比較することに全く意味がないのかというと、決してそんなことはありません。
男女の働き方や処遇格差がまだまだ残る日本社会にあって、その問題の所在を把握する方法として年収偏差値の比較は本質を突いた比較であると感じています。
当サイトでは、この記事のように統計データや数学を使って、様々な暮らしを分析し、記事にまとめています。
平均年収の見方が変わる!?
平均的な年収で、平均的な暮らしはできるのか?偏差値に限らず色々な数字に触れ、感性を磨く教材として読んで頂ければ、日常生活の過ごし方が少し変わるかもしれません。
今後も本記事のようなくだらないけどちょっと気になる話を楽しんで頂けたら嬉しいです。